日々の治療から

 

「世代と体」

 

体の状態というのは実にさまざまで年齢や外見から判断するのは非常に難しいものですが、

鍼治療をおこなっていて特に考えさせられるのは、鍼が最も効くのは年齢が90代の方々で、次が80代・70代と若くなるほどに体の中の混乱は大きくなっているという事実です。

 

ことに日本の高度成長の時代以降に生まれ育った世代の体は、90代に比べれば同じ人間とは思えない程のレベルの低下がみられ、言葉を失います。

 

これは決して若い方の体が治らないという事ではなく、90代の方々の成長期における自然環境がどれほど恵まれていたかということで、現在の人間の置かれている状況の厳しさを示すものとして、お考えいただきたい事でありますが。

 

人間の体が、それをとりまく自然環境をそのまま映し出すのは当然のことですが「自然に優しい」「体に優しい」という言葉はよく使われても「破壊された内なる自然を取り戻す」という積極的な意志を感じさせる言葉はあまり語られないように思います。

 

人の体も本能として、太古の自然を取り戻したいという強い思いを抱いています。 

 

日本の伝統文化である鍼術は、自然な状態へ戻ろうとする体の要求に答え得る治療であるという確信が、日々の治療を支えてくれています。

 

                                                                      2012年1月 

                        

                          鍼師  松田洋司