治療にあたって

治療が始まり硬結が緩みはじめると、体の奥で固まっていた様々な問題が浮上して来ますが、その対応は基本的に体にまかせておけばよいものです。

 

子供の場合は本能的に鍼を理解してくれますから、体の変化にまかすことができるのですが、大人はそうもいかないこともあります。

 

できれば今までの医学的な知識を脇に置いて、ただ感じるままに鍼の感覚を味わっていただければ、治療の効果もより大きなものとなります。

 

西洋医学的に鍼を理解しようとされましても、治療の目的とするところから大きな隔たりがありますし、鍼では体も精神もひとつとしてあつかわれますから、体を細分化して考える方法ではなかなかうまくいかないと思われます。

 

日常生活では「がんばりすぎない」「ほどほどに」ということを心がけていただければ、まずは充分です。

 

鍼は引き算の治療ですから、「~をしなければならない」とか「~を食べなければならない」といった体や精神に押し付けてきたことからも自由になっていただきたいと思います。

 

特に自然食・オーガニックなどの勉強をされた方の場合、体に良いとされる情報を体に押し付けることが習慣になることもあるようですから、そういう知識からもいったん離れて、体の感覚と対話するところから始められることをお勧めしています。

 

自然な食事が大切なのは当然のことですが、体の要求を感じるよりも知識で食べるようなことをすれば、自然なものも体にとっては不自然なものになってしまいますから。